いっぺーまーさんのこと。
いっぺーまーさん。
うちなーぐち(沖縄方言)で、 「とても美味しい」の意味である。
人口10,000人あたりの飲食店数、日本No.1の沖縄県。
沖縄で最も盛り上がっているエリアのひとつ、 栄町(さかえまち)で店を構える 某オーナーシェフと、先日、こんな話になった。
私 「お客さんになんて言われたら、嬉しい?」 「うまい!とか、美味しい!とか、聞き飽きてるでしょ?」
Sシェフ 「そんなことないですよ」 「ふつうに、おいしかった、も嬉しいですよ」
私は、ほとんど、メニュー表を見ない。
「野菜が食いたい」 「チーズ系、ガツガツの濃い目」 「カラダが魚を欲している」
と、その日の気分と体調で、 なんとなく、ほしいものの方向性だけを伝え、権限委譲。
気心が知れているお店では、 大将・シェフにすべてをお任せをし、 その日のオススメを出してもらうのが、 最も良いと思っている。 (そして、それは、ある意味での戦い)。
また、それを実現してくれる 素晴らしいお店が、たくさん存在する。
まさに “めんどくさい” を絵に描いたようなオッサン。 だからこそ、「うまい」とか「美味しい」とかありふれた言葉ではなく、 それらを超越するような、戦いの勝者に敬意を示す、 『キラーフレーズ』を開発したい と、つねづね、思っている。
どんな忙しいシェフでも、 その言葉が聞こえると、思わず、 「え!?(ビックリ表情だけど、ちょっと顔は笑っている)」 と、振り返ってしまうような、爆弾的なもの。
「味の宝石箱や~」by ©彦摩呂先生 を超える、インパクトのあるもの。
しばらくの間は、「天才」という言葉を使っていたが、 あまりに乱用しすぎて、それが癖になってしまい、「なんかそれ、ちょっとバカにされてる感じがする(笑)」
と、某和食店の大将から苦言を呈されてしまった。
(・・・たしかに。これは、急務だな)
それ以来、新ワード開発プロジェクトを発足し、 同案件のクローズを急いでいる。
一般的には、 『本当においしいものに出逢った時、人は言葉が出ない』 と、聞く。
私はそこまでの境地には達していない。 悟りを開くにはまだまだ時間が掛かりそうだ。 (そもそもグルメライターでもないし)。
上記を含め、以下の4パターンの導入を検討。 しかし、私に当てはめて考えると、 いまいち、パッとしないので、 今回は、すべて見送りすることにした。
- その① 『言葉が出ない(と、あえて口に出して言う)』
完全に逃げている。 語彙力の無さを棚に上げている感じがして、 今後、自身の成長が見込めない。 はい、見送り。
- その② 『黙って、一筋の涙を流す』
怖い。 オッサンの静かな涙ほど、恐ろしいものはない。 はい、見送り。
- その③ 『うぅぅぅぅ~(擬音語で唸る)』
呪われそう。 もしくは、 「とうとう、コイツ発作でも起こしたか」と思わそう。 はい、見送り。
- その④ 『(うんうんうんうん)と、ひたすら、うなずく』
首が腱鞘炎になる。 はい、見送り。
Sシェフとのアイデア出しの結果、
「宇宙!」
「負けた」
「お手上げ」
「もう、降参」
「エロい」
と、新しい候補者たちが登場してきた。 これは、急いで、選定緊急会議を招集しなければ、である。
そして、この日も、Sシェフに軍配。
『これでもか!のチーズ祭り』に、 ③のパターン(アレンジヴァージョン)で、 思わず、唸ってしまった。くわばら、くわばら・・・。
Sシェフ、「負けた」。 くわっち~さびたん!(ご馳走様でした!)
ちなみに、沖縄の方が「いっぺーまーさん!」と 日常会話で使っているシーンは、一度も見たことはない。
ふつうに「おいしい」「美味い」と言われている。